2025年の人手不足倒産件数は427件(帝国データバンク)。前年342件から25%増加し、3年連続で過去最多を更新。建設・介護・運輸・飲食を中心に、「働き手がいない」という理由だけで企業が消えています。
- 人手不足倒産:427件(前年比+85件・帝国データバンク)
- 倒産全体:1万300件超、人手不足関連は過去最多を更新(東京商工リサーチ)
- 業種別:建設業113件 / 物流52件 / 介護・老人福祉21件 / 美容業11件 / 警備10件
- 規模別:従業員10人未満の小規模企業が77%を占める
- 正社員不足企業の割合:52%超(厚生労働省調査)
- 外国人労働者数:257万1,037人(2025年10月末・前年比+26.8万人・過去最多)
これらの数字が意味するのは、「人手不足はもう大企業だけの問題ではない」ということです。従業員10人未満の企業が倒産件数の4分の3を占めているという事実は、町の工務店・小規模介護施設・地方の運送会社がまさに瀬戸際にいることを示しています。
一方で、外国人労働者数が257万人を突破し過去最多を更新していることは、「活用できる人材は確実に増えている」というポジティブなシグナルでもあります。問題は採用後の「定着率」をどう設計するか、という一点に尽きます。
2026年1月、政府は特定技能+育成就労の5年間受入れ見込みを123万1,900人に引き上げ、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野を追加。特定技能2号(家族帯同OK・在留期限なし)の対象拡大と、育成就労制度(2027年開始予定)が2030年に向けた最大の制度変化です。
「特定技能2号は在留期間の上限がなく、家族帯同も認められています。1号でいかに早く2号にステップアップさせるか——その育成ルートを今から設計している企業と、場当たり的に採用している企業とでは、2030年に天と地ほどの差がつきます。政府も受入れ目標を123万人超に引き上げており、『制度の追い風』は間違いなく吹いています。」
▶ 佐藤真一氏のプロフィールを見る(特定技能比較ナビ)| 時期 | 制度・変更内容 | 企業への主な影響 |
|---|---|---|
| 2026年1月〜 | 受入れ見込み123万人超に拡大、3分野追加(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環) | 物流・リネン等で採用チャンスが大幅拡大 |
| 2026年〜継続 | 特定技能2号の対象分野拡大が継続 | 長期定着・在留期限なしの人材確保が可能に |
| 2027年(予定) | 育成就労制度スタート(技能実習の後継) | 1年目から現場実務OK、長期育成ルートが確立 |
| 2028〜2030年 | 育成就労→特定技能1号→2号の一貫ルートが定着 | 採用・育成・定着の「3段階モデル」が業界標準化 |
人手不足倒産が多発する4業界には、それぞれ異なる勝ちパターンがあります。共通するのは「ただ採用するだけ」では必ず失敗するという点。定着率を軸に設計した受け入れ体制が、明暗を分ける唯一の要因です。
「従業員80名の中堅ゼネコンが2024年にベトナム人特定技能1号5名を採用した事例です。最初は登録支援機関に月2.5万円/人で委託していましたが、半年後に自社体制に切り替えました。社宅完備・週1回の日本語勉強会・技能2号試験対策講座を社内開催にしたところ、1年後の定着率は95%に。離職したのはたった1名でした。結果として2025年の受注は前年比140%増、倒産危機から黒字転換を果たしています。失敗パターンは『支援委託だけ』で放置すること。定着率が30%を切り、半数が1年で辞めて再募集という悪循環に陥ります。」
▶ 佐藤真一氏のプロフィールを見る(特定技能比較ナビ)- 国内中途採用の紹介料相場:50〜80万円+教育費(定着率70〜75%)
- 特定技能・海外ルート:紹介料30〜60万円+支援費月1.5〜3万円
- 定着率85%以上を維持すれば、3年トータルで国内採用より約30%コスト削減
- ベトナム人N2以上・溶接・型枠スキル保有者は建設業でROIが最高水準
- 初年度導入コスト目安:約90万円/人 → 2年目以降は採用費ゼロで回収完了
介護・老人福祉事業の人手不足倒産は21件(前年比+7件)。有効求人倍率が4倍を超え、2026年の介護人材不足は25万人に達すると予測されています。この業界での勝ちパターンは「特定技能+育成就労ハイブリッド」と、徹底した生活支援体制の組み合わせです。
- 採用構成:フィリピン人特定技能3名+育成就労候補2名
- 支援体制:空港出迎え → 社宅(Wi-Fi完備)→ 日本語学校提携 → 家族帯同相談窓口
- 1年定着率:98%
- 利用者の声:「外国人スタッフが来てから笑顔が増えた」
- 夜勤シフト安定化 → 入居待機者ゼロを達成
2024年問題(時間外労働上限規制)の影響で物流業の人手不足倒産は52件に達しました。2030年にはドライバーが8.6万人不足するという予測(パーソル総合研究所)もあり、「今すぐ」対策が必要な業界です。
- 採用:インドネシア人特定技能2名(普通免許+特定技能試験・物流倉庫分野)
- 言語の壁への対策:多言語ナビ+AI配車システムの導入+月1回定期面談
- 採用から半年で完全戦力化
- 燃料費高騰の中、残業削減により利益率15%アップを実現
- 結果:倒産リストから脱出に成功
外国人材の定着率を最も下げる原因は「孤立」です。日本語が苦手で休日の孤独感から離職するケースが最多。社内メンター制度・母国料理の社食・オンライン帰省支援の3点セットで定着率30%→85%に改善した企業が複数存在します。
「定着率を下げる最大の敵は『孤立』です。日本語が苦手な状態で休日を一人で過ごす孤独感——これで辞めるパターンが圧倒的に多い。対策はシンプルで3つだけです。①社内メンター制度(日本人1名と外国人1名のペア)、②月1回の母国料理社食、③Wi-Fi完備と休暇制度を使ったオンライン帰省支援。これだけで定着率が30%から85%に跳ね上がった企業を、私はこれまでに何社も見てきました。」
▶ 特定技能比較ナビで登録支援機関を比較する| 支援形態 | 費用目安 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 登録支援機関委託(月額) | 月1.5〜3万円/人 | 手続き・生活支援を一括アウトソース | 丸投げにすると定着率低下リスクあり |
| コスパ重視プラン | 月2万円前後/人 | 必要支援を絞りコスト最小化 | 自社での日常フォロー体制が必要 |
| 年額契約(割引あり) | 年20〜25万円/人 | 月額より割安・予算管理しやすい | 途中解約時の違約金条件を確認 |
| 自社完結モデル | 初期整備コストのみ | 2年目以降のランニングコストがほぼゼロ | 社内体制整備に1年程度が必要 |
2030年までの労働力不足700万人超(みずほリサーチ試算)に対応するには、国内中途採用・特定技能・育成就労の3つを組み合わせた「3層ハイブリッド戦略」が最も合理的です。採用コスト半減+定着率90%超えを実現した企業に共通するのは、この3層設計です。
即時補強
即戦力補充
長期育成
| 採用層 | 初期コスト目安 | 定着率(目安) | 3年トータルコスト | 最適な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 国内中途(RPO活用) | 50〜80万円 | 70〜75% | 高(再採用リスク大) | 管理職・専門職の即補強 |
| 特定技能(海外ルート) | 30〜60万円+月1.5〜3万円 | 85〜95%(適切支援時) | 国内採用より約30%安 | 現場作業職・技能職の補充 |
| 育成就労(2027年〜) | 30〜50万円+教育費 | 90%超(予測) | 長期的に最安 | 若手の長期育成・幹部候補 |
特定技能1号は在留期間に通算5年の上限があり、家族帯同は原則不可です。特定技能2号は在留期間の上限がなく、家族帯同も認められています。2号取得には対象分野の技能試験と日本語試験の合格が必要です。長期定着・長期戦力化を目指す企業にとって、1号採用後のステップアップ支援を最初から設計しておくことが最も重要な投資になります。
海外ルートの場合、初期費用(送り出し機関費用・在留資格申請費用等)は1人あたり30〜60万円、登録支援機関への委託費が月1.5〜3万円かかります。初年度の総コストは60〜90万円程度が目安です。定着率85%以上を維持できれば、3年トータルでは国内中途採用より約30%コストを抑えられます。
最も重要なのは「孤立させないこと」です。具体的には、①日本人スタッフとのメンター制度(ペア制)、②月1回程度の母国料理社食、③Wi-Fi環境と休暇制度を活用したオンライン帰省支援——この3点の組み合わせが有効です。定着率30%台だった企業がこの3施策だけで85%以上に改善した事例があります。
技能実習制度は「技術移転」を名目とした制度で、転籍制限が厳しく労働者保護の面で多くの問題が指摘されてきました。後継の育成就労制度(2027年開始予定)は、日本での「就労・定着」を正面から位置づけ直した制度です。1年目から現場業務への従事が認められ、一定期間後の転籍も可能になります。特定技能へのステップアップも想定した設計で、長期育成・幹部候補育成に活用できます。
必ず2社以上を比較することが重要です。費用(月額1.5〜3万円が相場)だけでなく、外国語対応スタッフがいるか、緊急時の対応体制、日本語学習支援・生活サポートメニューの充実度を確認しましょう。2026年現在、年額契約にすることで月額よりも割安になるケースが増えています。機関を変えただけで定着率が10ポイント改善した事例もあるため、初回契約を慎重に行うことをおすすめします。
人手不足倒産427件という現実は、すべての中小企業にとって他人事ではありません。外国人材を「コスト」ではなく「組織資産」として活用する企業だけが2030年を生き残ります。
- 登録支援機関を2社以上比較する(2026年中に実施推奨)。価格・サービス内容・外国語対応力を必ずチェックする。
- 特定技能2号試験対策を社内予算化する。1号採用時点からステップアップルートを設計しておくことが長期定着のカギ。
- ベトナム・フィリピンの現地送り出し機関との直接提携を検討する。紹介手数料の削減と人材の質向上につながる。
- 社内メンター制度を整備する。日本人スタッフとのペア制度は、最も低コストで定着率を改善できる施策。
- 3層ハイブリッド戦略の設計を始める。国内RPO・特定技能・育成就労の3つを組み合わせて採用コスト半減+定着率90%超を目指す。
採用ROIの視点で外国人材活用と国内採用を組み合わせて設計したい、企業の人事担当者の方へ。
RPO(採用代行)サービスの比較・選び方は、Mynavi採用比較ナビで詳しく解説しています。




帝国データバンクの「427件」という数字を見た瞬間、正直ゾッとしました。採用コンサルとして現場を走り回ってきた10年以上で、これほど急激な悪化は初めてです。「うちは大丈夫」と思っている中小企業の人事担当者さんほど、今すぐ手を打ってほしい。そんな思いで、特定技能の佐藤さんとの対談内容をもとにこの記事にまとめました。