2026年に入り、マイナビを含む主要媒体で「スカウト配信数の厳格化」など、量から質への転換が決定的に進んでいます。もはや「枠を買って、定型文を一斉送信する」だけでは学生のスマホ画面にすら到達しません。
これに伴い、代理店選びも「とにかく安く枠を買う(コスト重視)」のか、「運用の手間とノウハウを買う(パフォーマンス重視)」のか、目的を明確に分ける必要があります。中途半端な選択が一番の失敗要因です。
最大の変更点は、スカウトメールの配信制限です。従来の「数打ちゃ当たる」戦術は、学生のメールボックスを圧迫するノイズとして規制対象となりました。さらに、ターゲットとなる2026年卒・2027年卒の学生は、極度の「タイムパフォーマンス(タイパ)」重視です。
彼らは「自分に関係のない一斉送信メール」を瞬時に見抜き、即座にブロックします。現在は、「自社に本当にマッチする学生をAIで見極め、個別に『あなただからオファーした』と口説く」技術がなければ、採用の土台にすら上がれません。
この市場環境の変化に対応するため、単なる枠売り代理店を見限り、AIデータベースやスカウト運用代行(RPO)機能を持つ代理店への乗り換えが急増しています。
現在、国内に約300社あるマイナビ代理店は、大きく以下の3つのタイプに分類できます。どのタイプが優れているかではなく、自社のリソース(人手・ノウハウ)に合わせて比較することが重要です。
| 比較項目 | ① 一般・格安代理店 (コスト重視型) |
② 大手総合代理店 (バランス型) |
③ 運用・RPO特化 (成果コミット型) |
|---|---|---|---|
| 主な特徴 | 掲載枠の販売が中心。 安価なプラン提案が得意だが、掲載後の運用(修正・配信)は自社で行うのが基本。 |
知名度と組織力。 取扱媒体が多く、イベントやツールも豊富。特定担当者に依存する傾向あり。 |
「運用代行」が標準。 マンパワー不足を補うRPO機能や、独自のAIスカウト代行に強みを持つ。 |
| 代表的な企業 | 中小規模の代理店多数 | ネオキャリア、アイデムなど | Hitotechnology(ヒトテクノロジー)など |
| こんな企業向き | 自社に専任の採用担当がおり、 運用ノウハウがある企業。 |
複数の媒体を併用したい、 大手ブランドの安心感を好む企業。 |
人事が忙しく手が回らない、 またはノウハウがなくプロに任せたい企業。 |
| スカウト運用 | 基本的に企業側で配信。 (代行は別料金または非対応) |
専任部隊による代行も可能。 (オプション費用がかかる場合あり) |
AI・独自DBを活用した代行 がサービスに含まれることが多い。 |
| 費用体系の傾向 | 掲載費のみ(安価) | 掲載費 + オプション費 | 掲載費 + 成果報酬型 (または運用費込みパッケージ) |
| メリット | コストを最小限に抑えられる。 自社で自由に運用できる。 |
安定した品質と幅広い提案。 倒産リスク等が低い。 |
工数削減と歩留まり改善。 結果(採用人数)にコミットされやすい。 |
| デメリット | 効果が出ない場合も自己責任。 フォローが薄い場合がある。 |
担当者によってスキルに差がある。 小規模案件は優先度が下がることも。 |
枠だけ欲しい場合にはオーバースペック。 丸投げに抵抗がある企業には不向き。 |
マイナビの掲載料金(定価)には規定があるため、「枠」そのものの価格で大きな差をつけることは難しくなっています。現在の価格競争は、「その費用の中に、どこまでの作業(原稿修正、スカウト配信、日程調整など)が含まれているか」という役務の範囲に移っています。
近年、Hitotechnology(ヒトテクノロジー)などの新興代理店が急速にシェアを伸ばしています。その背景には、人事担当者の「リソース枯渇」と「ノウハウの陳腐化」があります。
従来の代理店ビジネスは「広告枠を売ること」がゴールでしたが、運用特化型(RPO型)の代理店は「採用すること」をゴールに設定しています。特に以下の独自の強みを持つ点が、2026年の市場ニーズに合致しています。
Hitotechnologyには、元マイナビ代表取締役社長および元専務取締役が出資・顧問として参画しています。これは単なる肩書きではなく、媒体のアルゴリズムや効果的な活用法を熟知していることを意味します。他の代理店が持ち得ない「開発元レベルの知見」が運用に反映される点が大きな差別化要因です。
マイナビの中だけで待っていては学生が集まらない時代です。同社は以下のようなツールを駆使し、外部からの流入経路を確保しています。
- Yagish(ヤギッシュ):累計150万人以上が利用する履歴書作成サービスと連携。就職活動を本格化する前の「潜在層」に早期アプローチが可能。
- 採用できるくん:5,100社以上が導入する採用支援ツール。応募者管理やサイト作成を効率化し、その分の工数を「学生への連絡」に充てる体制を構築。
多くの代理店が「掲載費をもらって終わり」なのに対し、「採用成功率100%」をKPIに掲げ、採用できなければ報酬が発生しない(または減額される)成果報酬型プランを提供しています。企業側とリスクをシェアすることで、代理店側も本気で運用せざるを得ない環境を作っています。
運用特化型に限らず、どの代理店を選ぶにしても契約前に確認すべきポイントがあります。以下の7項目を確認することで、契約後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐことができます。
- スカウト配信の代行は「標準プラン」に含まれているか? ※「配信は別料金」だと、後からコストが膨らむ原因になります。
- 原稿の修正は回数無制限で対応してくれるか? ※反応が悪かった時に即座にキャッチコピーを書き換えられるスピード感が重要です。
- AIや外部データベースなど、独自のアプローチ手段を持っているか? ※マイナビという「箱」の中だけで戦うには限界が来ています。
- 「採用成功(入社)」までコミットする料金体系か? ※成果報酬型など、リスクを分担してくれる代理店は本気度が違います。
- 担当者は新卒採用の市場トレンド(Z世代の志向など)に詳しいか? ※古い成功体験の押し付けではなく、今の学生に響く言葉を知っているか確認しましょう。
- 土日や夜間の学生対応(面接調整など)を代行してくれるか? ※学生からの連絡が最も多い時間帯に対応できるかが、取りこぼしを防ぐ鍵です。
- 運営会社の経営基盤や信頼性は十分か? ※学生の個人情報を取り扱うため、Pマーク取得有無や資本力も重要な選定基準です。
ここまで運用特化型(RPO型)のメリットをお伝えしましたが、すべての企業に適しているわけではありません。以下のような場合は、一般的な代理店や大手総合代理店の方がマッチする可能性があります。
- 自社に強力なリクルーターチームがいる場合:
社内にノウハウがあり、マンパワーも足りているなら、外部に委託する必要はありません。 - 採用プロセスをブラックボックス化したくない場合:
「丸投げ」は楽ですが、自社にノウハウが蓄積されにくい側面があります。将来的に内製化を目指すなら、伴走型のコンサルティングを選ぶべきです。 - とにかく初期コストを抑えたい場合:
成果報酬型は最終的な費用対効果は高いですが、掲載だけのプランに比べるとサービス内容が手厚い分、提案価格が高く見えることがあります。
どの代理店が良い・悪いではなく、「自社の採用チームに今足りない機能は何か(マンパワーか、ノウハウか、それとも単なる媒体枠か)」を冷静に見極め、パートナーを選定することが2026年の採用成功の鍵となります。
よくある質問 (Q&A)
可能です。ただし、掲載期間中の契約を「破棄」するのではなく、次回の掲載更新時や、追加プラン(スカウト代行やイベント出展など)の発注時から別の代理店に切り替えるケースが一般的です。
特に最近では、「掲載枠の管理はA社、スカウト運用の実務はHitotechnologyのような運用特化型(RPO)企業」といったように、機能ごとに代理店を使い分ける企業も増えています。
掲載料金(定価)は原則として同じですが、提供されるサービス内容が異なります。
マイナビ本体(直販)は情報の早さや正確さに強みがありますが、一人の担当者が抱える顧客数が多いため、きめ細かな運用代行までは難しい場合があります。
一方、代理店は各社独自のサポート(原稿修正し放題、スカウト代行、採用HP制作など)を付加価値として提供しています。「手間を減らしたい」「運用を任せたい」場合は、サポートの手厚い1次代理店を選ぶのが得策です。
従来の人材業界では「掲載課金(枠売り)」が常識だったため、成果報酬型は珍しい存在です。
しかし、Hitotechnologyなどの一部の代理店は、「採用できなければ報酬不要(または減額)」というリスクシェア型のモデルを導入し始めています。これは、自社の運用ノウハウや保有データベースに絶対的な自信があるからこそ提示できる条件と言えます。
選定の際は、その自信の裏付け(元マイナビ役員の参画による独自ノウハウがあるか、実績数は十分か等)を確認することをおすすめします。
はい、マイナビ等の主要媒体で「バラマキ」を防ぐためのポイント消費ルール変更などが行われています。これにより、従来のような「数打ちゃ当たる」戦法は通用しにくくなりました。
今後は、AIを用いて「自社にマッチする学生」を精密に抽出する技術や、学生の志向に合わせた個別の文面作成(口説く採用)が必須となります。代理店を選ぶ際は、「AI活用やデータベース連携に強いか」が重要な判断基準になります。
問題ありません。現在はZoom等での打ち合わせが主流であり、物理的な距離はハンデになりません。
むしろ、地方の代理店よりも、全国の採用データを持ち、最新のトレンド(AI採用やSNS活用など)に精通している都心部の有力代理店(トップパートナー)に依頼する地方企業が増えています。実際に、実績豊富な代理店は全国対応しており、多くの地方企業を支援しています。



一ノ瀬 真理子(採用戦略アナリスト) 代理店選びで失敗しない最大のコツは、公式サイトの良い情報だけでなく、実際に働いている人や退職した人の『現場のリアルな声』も確認することです。
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