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人手不足倒産427件の現実|外国人材活用の勝ちパターン2026〜2030

2026年3月にヒルトン東京「ZATTA」で行われた佐藤真一と一ノ瀬真理子の対談の様子
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取材・対談記録:2026年3月実施 ヒルトン東京の会員制ラウンジ「ZATTA」(千代田区・皇居の緑を望む上質な空間)にて、特定技能制度の専門家・佐藤真一氏(特定技能比較ナビ主宰)との対談を約2時間にわたって実施しました。本稿はその対談内容をもとに、一ノ瀬真理子が採用ROIの視点から再構成・加筆した解説コラムです。

一ノ瀬真理子 一ノ瀬真理子

帝国データバンクの「427件」という数字を見た瞬間、正直ゾッとしました。採用コンサルとして現場を走り回ってきた10年以上で、これほど急激な悪化は初めてです。「うちは大丈夫」と思っている中小企業の人事担当者さんほど、今すぐ手を打ってほしい。そんな思いで、特定技能の佐藤さんとの対談内容をもとにこの記事にまとめました。


2025年・人手不足倒産427件の衝撃——何が起きているのか

2025年の人手不足倒産件数は427件(帝国データバンク)。前年342件から25%増加し、3年連続で過去最多を更新。建設・介護・運輸・飲食を中心に、「働き手がいない」という理由だけで企業が消えています。

📊 2025年 人手不足関連データまとめ(主要出典)
  • 人手不足倒産:427件(前年比+85件・帝国データバンク)
  • 倒産全体:1万300件超、人手不足関連は過去最多を更新(東京商工リサーチ)
  • 業種別:建設業113件 / 物流52件 / 介護・老人福祉21件 / 美容業11件 / 警備10件
  • 規模別:従業員10人未満の小規模企業が77%を占める
  • 正社員不足企業の割合:52%超(厚生労働省調査)
  • 外国人労働者数:257万1,037人(2025年10月末・前年比+26.8万人・過去最多)

これらの数字が意味するのは、「人手不足はもう大企業だけの問題ではない」ということです。従業員10人未満の企業が倒産件数の4分の3を占めているという事実は、町の工務店・小規模介護施設・地方の運送会社がまさに瀬戸際にいることを示しています。

一方で、外国人労働者数が257万人を突破し過去最多を更新していることは、「活用できる人材は確実に増えている」というポジティブなシグナルでもあります。問題は採用後の「定着率」をどう設計するか、という一点に尽きます。


特定技能制度の最新動向——2026年〜2030年に何が変わるか

2026年1月、政府は特定技能+育成就労の5年間受入れ見込みを123万1,900人に引き上げ、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野を追加。特定技能2号(家族帯同OK・在留期限なし)の対象拡大と、育成就労制度(2027年開始予定)が2030年に向けた最大の制度変化です。

💬 佐藤真一氏のコメント(特定技能比較ナビ主宰)

「特定技能2号は在留期間の上限がなく、家族帯同も認められています。1号でいかに早く2号にステップアップさせるか——その育成ルートを今から設計している企業と、場当たり的に採用している企業とでは、2030年に天と地ほどの差がつきます。政府も受入れ目標を123万人超に引き上げており、『制度の追い風』は間違いなく吹いています。」

▶ 佐藤真一氏のプロフィールを見る(特定技能比較ナビ)

2026〜2030年 制度変更タイムライン
時期 制度・変更内容 企業への主な影響
2026年1月〜 受入れ見込み123万人超に拡大、3分野追加(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環) 物流・リネン等で採用チャンスが大幅拡大
2026年〜継続 特定技能2号の対象分野拡大が継続 長期定着・在留期限なしの人材確保が可能に
2027年(予定) 育成就労制度スタート(技能実習の後継) 1年目から現場実務OK、長期育成ルートが確立
2028〜2030年 育成就労→特定技能1号→2号の一貫ルートが定着 採用・育成・定着の「3段階モデル」が業界標準化

一ノ瀬真理子 一ノ瀬真理子

ZATTAでの対談でも佐藤さんと確認しましたが、特定技能2号を「ゴール」ではなく「スタート」に捉えている企業が強い。2号取得後は在留期限なしで長期投資できる。採用ROI的には、初年度コストを回収したあとは純粋なリターンになるわけです。これが国内中途採用にはない、外国人材活用の最大の経済的メリットだと私は考えています。


業界別「本当の勝ちパターン」——建設・介護・運輸・飲食

人手不足倒産が多発する4業界には、それぞれ異なる勝ちパターンがあります。共通するのは「ただ採用するだけ」では必ず失敗するという点。定着率を軸に設計した受け入れ体制が、明暗を分ける唯一の要因です。

🏗 建設業
⚠ 倒産113件・47〜93万人不足予測(国交省)
✅ 勝ちパターン
特定技能2号へのステップアップ支援。ベトナム人N2以上+即戦力溶接・型枠スキル活用
🏥 介護・老人福祉
⚠ 倒産21件・2026年25万人不足予測
✅ 勝ちパターン
特定技能+育成就労ハイブリッド。フィリピン人材×生活支援フルパッケージ
🚛 運輸・物流
⚠ 倒産52件・2030年8.6万人不足(パーソル)
✅ 勝ちパターン
特定技能2号ドライバー。多言語ナビ+AI配車で言語の壁をシステムで解決
🍽 飲食・外食
⚠ 労働集約型で慢性的な人材不足が継続
✅ 勝ちパターン
特定技能1号+アルバイト併用。衛生管理・調理スキルの高いベトナム人厨房スタッフ

建設業の成功事例——定着率95%・受注140%増の中堅ゼネコン
💬 佐藤真一氏が語る現場事例

「従業員80名の中堅ゼネコンが2024年にベトナム人特定技能1号5名を採用した事例です。最初は登録支援機関に月2.5万円/人で委託していましたが、半年後に自社体制に切り替えました。社宅完備・週1回の日本語勉強会・技能2号試験対策講座を社内開催にしたところ、1年後の定着率は95%に。離職したのはたった1名でした。結果として2025年の受注は前年比140%増、倒産危機から黒字転換を果たしています。失敗パターンは『支援委託だけ』で放置すること。定着率が30%を切り、半数が1年で辞めて再募集という悪循環に陥ります。」

▶ 佐藤真一氏のプロフィールを見る(特定技能比較ナビ)
📋 建設業の採用ROI比較(一ノ瀬試算)
  • 国内中途採用の紹介料相場:50〜80万円+教育費(定着率70〜75%)
  • 特定技能・海外ルート:紹介料30〜60万円+支援費月1.5〜3万円
  • 定着率85%以上を維持すれば、3年トータルで国内採用より約30%コスト削減
  • ベトナム人N2以上・溶接・型枠スキル保有者は建設業でROIが最高水準
  • 初年度導入コスト目安:約90万円/人 → 2年目以降は採用費ゼロで回収完了

介護業界の成功事例——定着率98%・夜勤シフト安定・待機者ゼロ達成

介護・老人福祉事業の人手不足倒産は21件(前年比+7件)。有効求人倍率が4倍を超え、2026年の介護人材不足は25万人に達すると予測されています。この業界での勝ちパターンは「特定技能+育成就労ハイブリッド」と、徹底した生活支援体制の組み合わせです。

📋 定員80名の特養(特別養護老人ホーム)成功事例
  • 採用構成:フィリピン人特定技能3名+育成就労候補2名
  • 支援体制:空港出迎え → 社宅(Wi-Fi完備)→ 日本語学校提携 → 家族帯同相談窓口
  • 1年定着率:98%
  • 利用者の声:「外国人スタッフが来てから笑顔が増えた」
  • 夜勤シフト安定化 → 入居待機者ゼロを達成

一ノ瀬真理子 一ノ瀬真理子

介護は感情労働なので「文化理解」への投資が本当に効きます。私のコンサル経験では、入職前に「日本のおもてなし文化研修」を1週間行うだけで離職率が半減したケースを何社も見てきました。コストに見えますが、1人離職して再採用するコストの10分の1以下です。費用対効果で言えば、最も高い採用施策のひとつだと断言できます。


運輸・物流の成功事例——残業削減で利益率15%アップ

2024年問題(時間外労働上限規制)の影響で物流業の人手不足倒産は52件に達しました。2030年にはドライバーが8.6万人不足するという予測(パーソル総合研究所)もあり、「今すぐ」対策が必要な業界です。

📋 車両15台・中小運送会社の成功事例
  • 採用:インドネシア人特定技能2名(普通免許+特定技能試験・物流倉庫分野)
  • 言語の壁への対策:多言語ナビ+AI配車システムの導入+月1回定期面談
  • 採用から半年で完全戦力化
  • 燃料費高騰の中、残業削減により利益率15%アップを実現
  • 結果:倒産リストから脱出に成功

定着率を下げる「最大の敵」と具体的な3つの対策

外国人材の定着率を最も下げる原因は「孤立」です。日本語が苦手で休日の孤独感から離職するケースが最多。社内メンター制度・母国料理の社食・オンライン帰省支援の3点セットで定着率30%→85%に改善した企業が複数存在します。

💬 佐藤真一氏:定着率を劇的に改善した3施策

「定着率を下げる最大の敵は『孤立』です。日本語が苦手な状態で休日を一人で過ごす孤独感——これで辞めるパターンが圧倒的に多い。対策はシンプルで3つだけです。①社内メンター制度(日本人1名と外国人1名のペア)、②月1回の母国料理社食、③Wi-Fi完備と休暇制度を使ったオンライン帰省支援。これだけで定着率が30%から85%に跳ね上がった企業を、私はこれまでに何社も見てきました。」

▶ 特定技能比較ナビで登録支援機関を比較する

登録支援機関の選び方と費用相場(2026年現在)
支援形態 費用目安 メリット 注意点
登録支援機関委託(月額) 月1.5〜3万円/人 手続き・生活支援を一括アウトソース 丸投げにすると定着率低下リスクあり
コスパ重視プラン 月2万円前後/人 必要支援を絞りコスト最小化 自社での日常フォロー体制が必要
年額契約(割引あり) 年20〜25万円/人 月額より割安・予算管理しやすい 途中解約時の違約金条件を確認
自社完結モデル 初期整備コストのみ 2年目以降のランニングコストがほぼゼロ 社内体制整備に1年程度が必要

一ノ瀬真理子 一ノ瀬真理子

登録支援機関は必ず2社以上を比較してください。価格差だけでなく「外国語対応スタッフがいるか」「緊急時の対応体制はどうか」「日本語学習支援のメニューが充実しているか」——この3点をチェックすることが重要です。私のコンサル先では、機関を変えただけで定着率が10ポイント改善した事例もあります。相見積もりを取るのは基本中の基本です。


一ノ瀬真理子の提言:「3層ハイブリッド採用戦略」

2030年までの労働力不足700万人超(みずほリサーチ試算)に対応するには、国内中途採用・特定技能・育成就労の3つを組み合わせた「3層ハイブリッド戦略」が最も合理的です。採用コスト半減+定着率90%超えを実現した企業に共通するのは、この3層設計です。

国内RPOで
即時補強
国内中途採用で急なポジションを埋める。RPO活用で採用工数も同時に削減する
特定技能で
即戦力補充
ベトナム・フィリピン等の即戦力外国人材を採用。1号→2号のルートで長期定着へ
育成就労で
長期育成
2027年開始の育成就労で若手を長期育成。将来の中核人材・幹部候補として育てる

3層戦略の採用ROI比較モデル
採用層 初期コスト目安 定着率(目安) 3年トータルコスト 最適な用途
国内中途(RPO活用) 50〜80万円 70〜75% 高(再採用リスク大) 管理職・専門職の即補強
特定技能(海外ルート) 30〜60万円+月1.5〜3万円 85〜95%(適切支援時) 国内採用より約30%安 現場作業職・技能職の補充
育成就労(2027年〜) 30〜50万円+教育費 90%超(予測) 長期的に最安 若手の長期育成・幹部候補

一ノ瀬真理子 一ノ瀬真理子

ZATTAでの対談を振り返ると、佐藤さんの現場データと私の採用ROI分析が見事につながった瞬間がいくつもありました。「外国人材はコストではなく、組織の資産だ」というのが私たち2人の共通の結論です。427件という数字を「他人事」にしないために、今日から動き始めましょう。まず1社、登録支援機関に声をかけるだけでいい。それが5年後の差になります。


よくある質問(FAQ)
Q特定技能1号と2号はどう違いますか?
A

特定技能1号は在留期間に通算5年の上限があり、家族帯同は原則不可です。特定技能2号は在留期間の上限がなく、家族帯同も認められています。2号取得には対象分野の技能試験と日本語試験の合格が必要です。長期定着・長期戦力化を目指す企業にとって、1号採用後のステップアップ支援を最初から設計しておくことが最も重要な投資になります。

Q特定技能外国人の採用にかかる費用はいくらですか?
A

海外ルートの場合、初期費用(送り出し機関費用・在留資格申請費用等)は1人あたり30〜60万円、登録支援機関への委託費が月1.5〜3万円かかります。初年度の総コストは60〜90万円程度が目安です。定着率85%以上を維持できれば、3年トータルでは国内中途採用より約30%コストを抑えられます。

Q外国人材の定着率を高めるために最も重要なことは何ですか?
A

最も重要なのは「孤立させないこと」です。具体的には、①日本人スタッフとのメンター制度(ペア制)、②月1回程度の母国料理社食、③Wi-Fi環境と休暇制度を活用したオンライン帰省支援——この3点の組み合わせが有効です。定着率30%台だった企業がこの3施策だけで85%以上に改善した事例があります。

Q育成就労制度と技能実習制度はどう違いますか?
A

技能実習制度は「技術移転」を名目とした制度で、転籍制限が厳しく労働者保護の面で多くの問題が指摘されてきました。後継の育成就労制度(2027年開始予定)は、日本での「就労・定着」を正面から位置づけ直した制度です。1年目から現場業務への従事が認められ、一定期間後の転籍も可能になります。特定技能へのステップアップも想定した設計で、長期育成・幹部候補育成に活用できます。

Q登録支援機関はどうやって選べばよいですか?
A

必ず2社以上を比較することが重要です。費用(月額1.5〜3万円が相場)だけでなく、外国語対応スタッフがいるか、緊急時の対応体制、日本語学習支援・生活サポートメニューの充実度を確認しましょう。2026年現在、年額契約にすることで月額よりも割安になるケースが増えています。機関を変えただけで定着率が10ポイント改善した事例もあるため、初回契約を慎重に行うことをおすすめします。


まとめ——2030年に向けて「今すぐ」動くべき5つのアクション

人手不足倒産427件という現実は、すべての中小企業にとって他人事ではありません。外国人材を「コスト」ではなく「組織資産」として活用する企業だけが2030年を生き残ります。

✅ 一ノ瀬真理子が提案する今すぐ取り組む5つのアクション
  1. 登録支援機関を2社以上比較する(2026年中に実施推奨)。価格・サービス内容・外国語対応力を必ずチェックする。
  2. 特定技能2号試験対策を社内予算化する。1号採用時点からステップアップルートを設計しておくことが長期定着のカギ。
  3. ベトナム・フィリピンの現地送り出し機関との直接提携を検討する。紹介手数料の削減と人材の質向上につながる。
  4. 社内メンター制度を整備する。日本人スタッフとのペア制度は、最も低コストで定着率を改善できる施策。
  5. 3層ハイブリッド戦略の設計を始める。国内RPO・特定技能・育成就労の3つを組み合わせて採用コスト半減+定着率90%超を目指す。

採用ROIの視点で外国人材活用と国内採用を組み合わせて設計したい、企業の人事担当者の方へ。
RPO(採用代行)サービスの比較・選び方は、Mynavi採用比較ナビで詳しく解説しています。

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この記事を書いた人

一ノ瀬真理子 採用戦略アナリスト

一ノ瀬 真理子

採用戦略フォーラム 代表 / 採用戦略アナリスト

早稲田大学商学部卒 米国MBA(HR/組織開発) 元リクルート 採用戦略コンサルタント 元三菱東京UFJ銀行 法人営業

採用戦略フォーラム代表として、マイナビ代理店業界の調査・分析と中立的な情報発信を行う。本サイトの比較・評価はすべて独立した立場で実施しており、運営元のSkywork株式会社は評価対象外としている。

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